肩の痛み・動かしにくさでお困りの方へ
変形性肩関節症・腱板断裂性肩関節症と人工肩関節手術について
肩の痛みが長く続く、腕が上がらない、夜間に痛みで目が覚める、服の着替えや洗髪がつらい――。
このような症状の原因として、「変形性肩関節症」や「腱板断裂性肩関節症」という病気が隠れていることがあります。
キッコーマン総合病院 整形外科では、肩関節疾患を専門とする医師が、診察・画像検査・リハビリテーション・注射治療・手術治療まで、患者さん一人ひとりの状態に合わせて診療を行っています。
「年齢のせいだから仕方ない」と思っていた肩の痛みでも、適切な診断と治療により、痛みの軽減や日常生活動作の改善が期待できる場合があります。肩の症状でお困りの方は、ぜひ一度ご相談ください。
変形性肩関節症とは
変形性肩関節症は、肩関節の軟骨がすり減り、関節の表面が傷んでくる病気です。股関節や膝関節の変形性関節症と比べると頻度は多くありませんが、高齢化に伴い肩関節の変形で受診される方は増えています。
肩関節は、上腕骨という腕の骨の先端と、肩甲骨の受け皿でできています。正常な関節では、骨の表面が軟骨で覆われ、なめらかに動くことができます。しかし軟骨がすり減ると、骨同士がこすれやすくなり、痛みや動きの制限が出てきます。
主な症状
変形性肩関節症では、以下のような症状がみられます。- 肩を動かすと痛い
- 安静にしていても肩が痛む
- 夜間痛があり、眠りにくい、途中で目が覚める
- 腕が上がりにくい
- 背中に手が回らない
- 洗髪、着替え、棚の上の物を取る動作がつらい
- 肩を動かすとゴリゴリ、ガリガリと音がする
初期には「動かした時だけ痛い」ことが多いですが、進行すると安静時痛や夜間痛が出ることがあります。
検査
診察では、痛みの部位、肩の動く範囲、筋力、生活で困っている動作などを確認します。画像検査としては、主に以下を行います。
レントゲン検査
関節の隙間が狭くなっていないか、骨の変形や骨棘がないかを確認します。

CT検査
肩甲骨側・上腕骨側それぞれの骨の変形を詳しく評価します。
MRI検査
腱板という肩の重要な腱が傷んでいないか、断裂していないかを確認します。治療法を決めるうえでも重要です。
治療法
○保存治療
症状が軽度の場合などは保存治療を行います。
- 痛み止めの内服薬
- 湿布などの外用薬
- 関節内注射
- リハビリテーション
- 生活動作の工夫
保存療法を行い症状は改善しても、関節軟骨の損傷は基本的に修復されることはありません。
○手術治療
長い期間痛みが続く場合、夜間痛が強い場合、日常生活に大きな支障がある場合には、人工肩関節手術を検討します。
腱板が保たれている変形性肩関節症では、通常型の人工肩関節全置換術(TSA:Total Shoulder Arthroplasty)が選択肢になります。
一方で、腱板が大きく傷んでいる場合や、肩を上げる力が大きく低下している場合には、リバース型人工肩関節全置換術(RSA:Reverse Shoulder Arthroplasty)が適応となることがあります。

腱板断裂性肩関節症とは
腱板断裂性肩関節症とは、肩を動かすために重要な「腱板」が広範囲に切れた状態が長く続き、肩関節の変形まで進んだ病気です。
腱板は、肩の奥にある筋肉と腱の集まりで、腕を上げたり、肩関節を安定させたりする重要な役割を持っています。腱板が大きく切れて機能しなくなると、上腕骨の頭が上へずれ、肩関節のバランスが崩れます。その結果、関節の軟骨がすり減り、変形が進んでいきます。
主な症状
腱板断裂性肩関節症では、痛みだけでなく「腕が上がらない」ことが大きな特徴です。- 肩が痛い
- 夜間痛がある
- 腕を自分の力で上げられない
- 反対の手で支えると腕が上がる
- 洗髪や更衣が難しい
- 高い所の物が取れない
- 肩に力が入らない
- 以前に腱板断裂と診断されたことがある
特に、肩を他人に動かしてもらえば上がるのに、自分の力では上げられない状態は、腱板機能の低下を疑う重要な所見です。
検査
レントゲン検査
上腕骨頭が上方へ移動していないか、上腕骨側・肩甲骨側の骨の変形がないかを確認します。
MRI検査
腱板断裂の大きさ、筋肉の萎縮や脂肪変性を評価します。腱板が修復可能かどうかを判断するために重要です。
CT検査
関節の変形や骨の欠損を詳しく確認します。
治療法
症状や腱板断裂の状態、年齢、活動性、生活で困っている内容を総合的に判断します。
保存治療
症状が軽度の場合などは保存治療を行います。
- 痛み止めの内服薬
- 湿布などの外用薬
- 関節内注射
- リハビリテーション
- 生活動作の工夫
保存療法を行い症状は改善しても、関節軟骨の損傷は基本的に修復されることはありません。
手術治療
腱板が修復可能な場合には、腱板修復術が選択肢になることがあります。
しかし、腱板が広範囲に断裂して修復が難しく、関節の変形も進んでいる場合には、リバース型人工肩関節全置換術(RSA)が有効な選択肢となります。

当院医師の経歴紹介
キッコーマン総合病院
整形外科部長
大西 信三 医師
2026年4月当院へ赴任
国内・フランスへの留学にて肩関節の知見・手術手技を身につけ、筑波大学附属病院整形外科において13年にわたり肩関節分野のチーフを務める。ハンドボールの各カテゴリー代表ドクターを歴任、ハンドボール男子代表のドクターとしてパリオリンピックへ参加。スポーツ整形外科にも明るい。
当院着任までに肩関節関連手術執刀約2000件(関節鏡下腱板断裂1100件、解剖学的・リバース型人工肩関節350件、反復性脱臼300件、その他肩鎖関節脱臼など250件)と豊富な経験を有する。2025年度肩関節執刀件数は215件。
当院では大西医師の後任として筑波大学附属病院整形外科の肩関節分野チーフに着任した池田和大医師も非常勤医師として診療にあたっております。肩関節の痛みでお困りの患者様は受診をご検討ください。
当院対応肩関連疾患はこちら
- 肩腱板断裂
- 変形性肩関節症
- 腱板断裂性肩関節症
- 反復性肩関節脱臼
- 肩鎖関節脱臼
- 胸郭出口症候群
- 凍結肩(肩関節周囲炎:五十肩)